2006年 04月 25日
おやすみ、こわい夢を見ないように |
おやすみ、こわい夢を見ないように
角田 光代 / 新潮社
角田光代さんの短編集です。
久しぶりに読み応えのある小説を読みました。
芥川賞や直木賞は毎年律儀に発表されますが、ほんとうに小説と呼べるものがどれくらいあるのか、はなはだ疑問に思っています。
口当たりの良い読みやすい文章で、これが現代の風俗だとでもいいたいのか、薄っぺらでほとんど奥行きが感じられない。
仰々しい宣伝文句につられて読んでみて、これは小説じゃないよ、単なるあらすじ書きだよ、と何回も思っている内に、新進作家と呼ばれる人の本に手を伸ばすことがなくなっていました。
いつもはほとんど興味を引かれない朝日新聞の書評欄にこの短編集が取り上げられていて、そこに、自分の中の憎しみに対処しきれない人のための本です、というようなことが書かれていて、久しぶりに激しい気持ちに動かされて読み始めました。
ここに描かれているのは、まさに現代を生きる私たちです。
生活に困るわけではない。
分相応のものであれば、たいていのものは手に入れることができる。
上の世代からは、良い時代だ、自由な時代だと言われる。
それなのに、生きていくことはほんとうに難しく、苦しい。
そんな日々が、7つの短編の中に冷静な文章でしっかりと描かれています。
私にとっては内容があまりにリアルなため、ちょっと家族に読んでみてとは言えないほどでした。
大切に思える作家と巡り会い、とても嬉しく、感動しています。
これから、過去の作品に遡って、ゆっくり読んでいきたいと思います。
角田 光代 / 新潮社
角田光代さんの短編集です。
久しぶりに読み応えのある小説を読みました。
芥川賞や直木賞は毎年律儀に発表されますが、ほんとうに小説と呼べるものがどれくらいあるのか、はなはだ疑問に思っています。
口当たりの良い読みやすい文章で、これが現代の風俗だとでもいいたいのか、薄っぺらでほとんど奥行きが感じられない。
仰々しい宣伝文句につられて読んでみて、これは小説じゃないよ、単なるあらすじ書きだよ、と何回も思っている内に、新進作家と呼ばれる人の本に手を伸ばすことがなくなっていました。
いつもはほとんど興味を引かれない朝日新聞の書評欄にこの短編集が取り上げられていて、そこに、自分の中の憎しみに対処しきれない人のための本です、というようなことが書かれていて、久しぶりに激しい気持ちに動かされて読み始めました。
ここに描かれているのは、まさに現代を生きる私たちです。
生活に困るわけではない。
分相応のものであれば、たいていのものは手に入れることができる。
上の世代からは、良い時代だ、自由な時代だと言われる。
それなのに、生きていくことはほんとうに難しく、苦しい。
そんな日々が、7つの短編の中に冷静な文章でしっかりと描かれています。
私にとっては内容があまりにリアルなため、ちょっと家族に読んでみてとは言えないほどでした。
大切に思える作家と巡り会い、とても嬉しく、感動しています。
これから、過去の作品に遡って、ゆっくり読んでいきたいと思います。
by naocco8
| 2006-04-25 21:53
| Book