2006年 01月 09日
贋作 罪と罰 |
お芝居の内容について書いてありますので、知りたくない方はご注意ください。
覆へされた宝石のやうな朝
何人か戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日
西脇順三郎の「天気」という詩の朗読から、お芝居は始まりました。
金貸しの老婆とそこに居合わせた妹を主人公の英が殺害します。
殺害シーンはあえてカーテンで隠し、そこに映る影と効果音だけで表現されます。
これがものすごく恐いわけです。
見えないことによって自分の頭に浮かびあがる“殺人シーン”は、おそらくどんなに上手い役者が演じる芝居よりも恐い。
映画では当事者を映さない暴力シーンなどがありますが、それを舞台でやってしまうとは驚きました。
「正しい殺人は存在するのか」というのがこの芝居のテーマです。
英は、非凡な人間は大儀を全うするために凡人を殺害する権利さえ有するという思想によって殺人を行います。
一つの思想に囚われたために人の命を奪うという事の重大さを見失ってしまう。
小学生が同級生を刺殺した事件がありました。
これは私の想像に過ぎませんが、加害者はその未熟さによって、たまたま出会ったデフォルメされた“お話”をリアルとして受け止め、そのことに囚われて誤った“正義”を貫いてしまったのではないでしょうか。
私には英とその少女がダブって感じられました。
小道具として頻繁に登場する木製の小さな椅子が、小学校を想起させたのかもしれません。
人の命が軽んじられ、あまりにたやすく奪われていく今だからこその再演なのだと思いました。
今回、着替えのない俳優さんたちは、出番のない時でも舞台の外側、観客席の前に置かれた椅子に座って、さまざまな効果音を出したりします。
私は最前列の席に座っていたため、目の前をいろいろな俳優さんが行ったり来たり。
みなさんすごい迫力でありました。
素晴らしい舞台でした。
私の中では過去最高かもしれません。
覆へされた宝石のやうな朝
何人か戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日
西脇順三郎の「天気」という詩の朗読から、お芝居は始まりました。
金貸しの老婆とそこに居合わせた妹を主人公の英が殺害します。
殺害シーンはあえてカーテンで隠し、そこに映る影と効果音だけで表現されます。
これがものすごく恐いわけです。
見えないことによって自分の頭に浮かびあがる“殺人シーン”は、おそらくどんなに上手い役者が演じる芝居よりも恐い。
映画では当事者を映さない暴力シーンなどがありますが、それを舞台でやってしまうとは驚きました。
「正しい殺人は存在するのか」というのがこの芝居のテーマです。
英は、非凡な人間は大儀を全うするために凡人を殺害する権利さえ有するという思想によって殺人を行います。
一つの思想に囚われたために人の命を奪うという事の重大さを見失ってしまう。
小学生が同級生を刺殺した事件がありました。
これは私の想像に過ぎませんが、加害者はその未熟さによって、たまたま出会ったデフォルメされた“お話”をリアルとして受け止め、そのことに囚われて誤った“正義”を貫いてしまったのではないでしょうか。
私には英とその少女がダブって感じられました。
小道具として頻繁に登場する木製の小さな椅子が、小学校を想起させたのかもしれません。
人の命が軽んじられ、あまりにたやすく奪われていく今だからこその再演なのだと思いました。
今回、着替えのない俳優さんたちは、出番のない時でも舞台の外側、観客席の前に置かれた椅子に座って、さまざまな効果音を出したりします。
私は最前列の席に座っていたため、目の前をいろいろな俳優さんが行ったり来たり。
みなさんすごい迫力でありました。
素晴らしい舞台でした。
私の中では過去最高かもしれません。
by naocco8
| 2006-01-09 23:40
| Drama